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欧州材の問題点と国産材の対応

木材耐久性実験の実施

NPO国産材 代表理事 榎戸正人

 シロアリに対する強さを見る実験で、柱材をカットしたスギ、ヒノキ、ホワイト・ウッド、ベイツガの下の部分を土に埋め、どのくらいのスピードで食害が進行するかをみた。また腐食菌に対する強さを見る実験では土に触れないようプラスチックの上に同じ四種類の柱材を置き、雨ざらしでの試験の他、スギ材で作った箱に入れて雨風にあたらない状態での実験を行った。
 二年半で、ベイツガ、ホワイト・ウッドは中まで完全にシロアリに食い尽くされ、全壊してしまった。シロアリに対する強さではベイツガもホワイト・ウッドも大差はなく、極めて弱いことが改めて確認された。しかし、スギ、ヒノキは白太部分には食害はみられるものの、赤味は木口表面だけで内部への進行は見られず、外材と国産材のシロアリに対する強さの違いを見せつけた形となった。
 シロアリに対する強さでは差の無かったベイツガとホワイト・ウッドであるが、腐れに対する強さでは大きな差が出た。実験開始三年でホワイト・ウッドはキノコが生え、中まで完全に腐って自然に二つに割れてしまった。これが実際の建物の柱であれば、外壁のモルタルに支えられて何とか建物の形を維持していても、地震や台風などに襲われれば確実に倒壊するするであろう。
国産材はスギ、ヒノキ共に四隅の白太部分には変色見られるものの、まだ腐るには至ってない。腐りやすいと言われる白太でさえもホワイトウッドより強いという事実には驚かされた。

国産材業界の過ちと今後の対応

 現在のような欧州集成材の台頭を招いたもう一方の責任は、プレッカト工場の品質要求に答えようとせず、「スギは乾燥が難しい」、「人工乾燥するにはコストが掛かる」と言ってユーザーの声を無視し続けた国産材業界にある。クレームの少ない住宅を建てるためにはそれ以外の選択技がなっかったのである。欧州材の集成管柱は比較して価格が高いという大きな問題はあるが、これは国産材の耐久性、優位さを積極的にPRすることで克服できるのでないかと信ずる。安いだけが全てではない。家は一生の一度の買い物だと言われながら、このような耐久性のない樹種を使っての家造りが平然と行われている事を国民が知れば、多少高くても国産材をとの声は、おのずと出て来よう。家一軒に使用する柱の数は八十〜百本に過ぎない。たとえ一本三千円高くても三十万円程度の差であり、筋交いや一階床下部分などに使用する木材を加えても、あと五十〜六十万円出せば主要な部分に国産材を使用した家造りは可能などである。

鍵を握るのは消費者

 このような事実が全く消費者に知らされず、全く情報が無いまま、自分の家の柱などにどのような樹種がが使われているのかもわからないままに家造りが行われていることである。事ここに至ると、もはや木材業界や建築業界に動き掛けても事態の打開は不可能である。打開の鍵を握っているのは家を建てる消費者だけなのだ。彼らが「家を建てるのなら国産材を使ってほしい!」と言ってくれない限り、国産材は売れる材にならない。国産材時代はジッと待っていて来るものではない。自らの手で取る努力が必要なのである。

発行 森林組合 6月より抜粋

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